ぐっさんルーム

30代後半男性の日記みたいなもの

AIの波に乗り遅れる―現場で感じるリアルとギャップ

最近、世の中では「AIが仕事を奪う」といった話題がますます増えている。生成AI、業務支援AI、AIによる自動化……どれも耳慣れた言葉になりつつある。しかし、実際に自分の働いている現場に目を向けると、「本当にそんな未来が来るのか?」というギャップを強く感じる場面が多々ある。

プログラミングとAIの相性の良さは感じるが…

自分はプログラミングを業務の中心にしている。構造化されているプログラミング作業とAIの相性が良いということは、肌で感じている。AIはコードの補完、バグの検出、設計のサポートなどをかなり高精度でこなしてくれる。

だが、実際にそれを業務に組み込めているかといえば、答えはNOである。

導入したくても、使えない

AIコード支援ツール(たとえばGitHub Copilotなど)を使いたくても、現場ではさまざまな制約がある。セキュリティの壁、ライセンス費用の問題、そして何よりもIDE(自分はEclipseを使用)の相性の悪さがネックになっている。結果として、「使いたいけど使えない」「便利そうだけど実感がない」という状態が続いている。

Microsoft Copilotを試したこともあるが、チャット形式で業務のヒントをもらうには便利な反面、ライセンスの問題で利用上限が多く、自由に使い倒せる感じではなかった。

上からの期待、でも動けない現場

上司からは「AIを活用して業務効率化を進めてほしい」という期待がある。しかし、上記のようなツールの制約や、そもそも業務が多忙すぎて新しいことに手を出せない現実があり、なかなか前に進めないのが本音である。

研究チームであっても、業務に追われて研究そのものに使える時間が少ないという矛盾を抱えている。

世間のAI熱と、我が社の温度差

世間では「AIが仕事を奪う」「AIを使えないと取り残される」といった危機感が広がっている。だが、正直なところ、我が社では「そもそもAIを活用する土壌が整っていない」というのが現状である。そのギャップに、大きな不安を感じる。

AIが今後ますます進化していくのは間違いない。そして、外部の変化が社内にも強制的に影響を与える可能性も高い。そうなったとき、「今からAI活用を考えよう」では間に合わないかもしれない。

だが、何も変わらない未来もある

とはいえ、社内だけを見れば、あと5年は今とそれほど変わらないかもしれない。良く言えば安定、悪く言えば変化にかかるコストが大きすぎて動けないというのが実態である。ただし、その「安定」が外部環境によって一気に崩されるリスクもある。

AI活用には“知識”が不可欠

AIを効果的に活用するには、その分野に対する深い理解が必要だと感じている。たとえば、AIがコードを生成したとしても、それが正しいかどうかを判断するのは結局人間である。現時点では、AIを“使いこなす”にはむしろ高いスキルが求められるともいえる。

もちろん、将来的にはそのチェックすらAIが担えるようになるかもしれない。そうなれば、また一つ人間の労力が軽減されるだろう。それがいつ来るのかはわからないが、その日が来るまで、現場でできる小さな一歩を積み重ねていくしかないと感じている。